2014年にあった御嶽山(おんたけさん)(長野・岐阜県境、標高3067メートル)の噴火災害で、噴火以来続いていた山頂付近の登山道の立ち入り規制が29日、緩和された。多くの犠牲者が出た尾根筋「八丁ダルミ」などで9年ぶりに一般登山が可能となった。
規制が緩和されたのは、長野県王滝村側から登る王滝頂上と最高地点の剣ケ峰を結ぶ八丁ダルミと、その途中から木曽町側に至る「二ノ池トラバース」。
死者58人、行方不明者5人を出した災害後、村は噴石から身を守るための避難用シェルターを八丁ダルミ周辺に2基設けるなど、一定の安全対策を講じたと判断。登山者にヘルメットの着用を求めたうえで、登山道の両脇に設けたロープ外に出ないことなどを条件に、24時間の通行を認めた。今年は10月11日午後2時までを予定している。
木曽町側からは18年以降、剣ケ峰への登山は可能だったが、今回の規制緩和により、9年ぶりに王滝村側からも剣ケ峰に行くことができる。山頂近くの一部の規制は残る。
王滝村側からの登山は、7合目の駐車場からは3時間未満のコースタイムで山頂部に至ることから人気があった。
ただ、今回の規制緩和に対し、噴火災害の被災者らでつくる「山びこの会」の中からは、噴火が発生した場合は「全員がシェルターに逃げ込むことは物理的に難しく、リスクが大きい」と反対を訴える声も上がる。
長野県の阿部守一知事は27日の会見で、八丁ダルミなどの一般登山が可能になることについて、「地元の木曽町、王滝村など関係者の努力のおかげで、待ち望んでいた状況になる。噴火災害の記憶を風化させないようにしながらも、多くの人に戻ってきて頂けるように取り組んでいきたい」と話した。(佐藤仁彦、遠藤和希)
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル